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TOEIC900点ネイティブは取得できるのか?

TOEIC900点以上を取得した女の子

 多くの英語学習を目指す生徒さんから、「ネイティブはTOEICで900点以上取れるの?」と言う質問を受け、以前、実際に実験を試みた事が有ります。

 そもそもTOEICとは、イングリッシュ・ネイティブ・スピーカー(英語を幼少期から学び母国語として、もしくは母国語以上に使える者)のために作られたテストでは無く、第二言語として英語を学ぶ人が「仕事でどれほど英語が使えるのか?」を証明するための英語力判定テストです。

 現在、アジア圏の国々では多くの方がTOEICを受講しており、留学生やワーキングホリデー参加者の間でも、やはりTOEICスコアが話題に上る事はしばしばなのですが、そんなTOEICを「英語のネイティブスピーカー(第一言語として英語を使う者)が受験したらいくつ点数が取れるのか?」と言う事に興味を持たれている方が沢山いました。

 そこで、オンライン英会話ガイドにとっても「これは面白いネタになる!」と言う事で、実際に2人のネイティブスピーカーの友人に頼み込みTOEICを受験して貰った事があるので、ここではその時受験して貰った結果を踏まえて「ネイティブスピーカーのTOEICの実力」について紹介してみたいと思います。

2人の友人のスキル

 まず、TOEICとはビジネス関連の英語力を判定するテストなので、2人に誰しもが納得するような職歴が無ければ、「学生には難しい?」や「その2人の頭が特別悪いんじゃないの?」と言う厳しい指摘がある可能性があるため、まずは2人の職業について紹介しておきます。

 そのTOEICを受講して貰った2人は、1人は大卒、もう1人は高卒ですが、共にカナダの一流銀行でバリバリ働く銀行員です。

 試験を受けて貰った時、2人は、まだまだ銀行員としては駆け出しレベルの2年目でしたが、現在では2人とも支店でトップ売上を出すなどしている、銀行員の中で見ても、世間一般の目から見ても“できる2人”と言えるでしょう。

TOEICテストの条件

 そんな2人にTOEICを受講して貰う際、「晩御飯をおごるから!!」と言う、食べ物で釣って無理やり受講して貰った為(笑)、実際のTOEIC試験では無く、模擬試験を使用しました。

 その為、TOEICは全200問なのですが、それを1問5点配分として計1,000点満点で換算して見ました。

 ※ 実際のTOEICテストでは、偏差値のような計算方法が用いられており、正答率が高い問題の得点は小さく、正答率の低い問題の得点は大きくなるようになっており、満点は990点となります。

ネイティブスピーカーのTOEICの実力

 多くの方は「ネイティブスピーカーなんだから満点取れて当然!!」と思われているでしょうが、何と結果は1人が「990点(2問の間違い)」、そしてもう1人が「985点(3問の間違い)」と言う結果になり、共にリスニングセクションは満点でしたが、リーディングセクションで間違いをしていました。

 2人とも900点越えとなったため、生徒達には「900点越えるよ!」と伝えましたが、正直、「金融業界でバリバリの2人が満点取れないとは」全く予想していなかった事なので、TOEICの有効性について疑問を少し持つようになりました。

 そして、2人に対して「なぜ間違ったのか?」と聞いてみると、1人は「これは拷問の様に眠いテストだ」と言う回答が貰え、もう1人からは「深く読むと間違える」との事でした。

 要約すると、2人の回答は「TOEICは(ネイティブにとって)とても簡単だけど、“回答がこれで合っているのか?”と疑問に思うと、深読みしてしまい間違える可能性がある」との事でした。

 また、1人は「これって、どっちかと言えば(A)だけど、正直な話、(B)でも良いよな?」と言った、“TOEICの出題に難癖を付ける(笑)”と言う事態にもなってしまいテストは終了しました。

 しかしながら、ネイティブスピーカーでも満点が取れないなんて、「TOEICはそれで良いのか?」とも思いますよね(笑)。

受験してくれたネイティブスピーカー

 ここで紹介している、TOEICを受験してくれた2人のネイティブスピーカーの名誉のために補足をしておくと、2人ともカナダ生まれのカナダ育ちですが、バックグラウンドには、中国・ハワイ・台湾などの数ヵ国の背景が有ります。

 そのため、第一言語は英語ですが、それぞれ中国語や広東語、さらには台湾語などもネイティブレベルで読み書きまでできる凄い2人です。

 間違いなく頭が“かなり”切れる2人ですので、TOEICが満点で無かった事に対してショックだったようですので、フォローをさせて頂きました(笑)。

TOEIC900点は仕事で使えるのか?

世界のTOEIC受講者のイメージ

 ネイティブスピーカーでさえ満点が取れなかったTOEIC試験ですが、そんなTOEICで900点クラスを取得している方々と言うのは「英語がペラペラに違いない」と思われる方もきっと多いはずです。

 そのTOEIC900点以上のレベルと言うのは、TOEIC受講者の内で「上位3%以内に入るツワモノ」と呼べる得点で、如何にTOEIC900点を取得する事が難しいのか分かって頂けるかと思います。

 しかしながら、残念な事にTOEIC900点台を取得したからと言っても、日本に進出している外資系企業での勤務であれば、それなりに熟す事ができる英語力と言えますが、実際に海外で就職する(英語圏のローカル企業で働く)となると、正直な話、TOEIC900点前後では使い物になりません。

 それでは、「なぜ日本人の多くが高得点取得を目指すTOEICでハイスコアを取得しても、海外では英語が使い物にならないのでしょう?」その理由について紹介してみたいと思います。

TOEICは第二言語が考慮されている

 そもそも話になってしまうのですが、TOEICテストと言うのは仕事上での英語力を判定するテストなのですが、例えば、話し相手がイギリス人だった場合に、そのイギリス人が「“ゆっくり”と“分かりやすく”話してくれる」と言う事を前提条件としているテストとなっています。

 しかしながら、日本の仕事上での会話を想像して頂ければ分かると思いますが、普通、仕事では通常よりも“かなり速いスピード”で会話が繰り広げられるため、ビジネス英語もそれと同様に通常よりも“会話速度が速い”のが普通です。

 それなのに、TOEICテストでは話し相手に合わせて、“ゆっくりと話す人”が想定されているため、TOEIC900点を取った人でもビジネス英語の速さについていく事ができないため、「TOEIC900点でも使い物にならない」と言う事になってしまいます。

 もしも機会があれば聞いて頂きたいのですが、株式相場や為替相場等の海外ニュースでは、一般的なニュースの「5~10倍程度の速さ」で英語が話されています。

 それが、一線で英語を使う時のスピードとなるので、TOEIC900点を獲得できたなら一度リスニングに挑戦してみると、その会話展開の速さに驚かれると思います。

仕事の会話は1対1では行われないから

 次にTOEIC900点でも海外で使えない理由として、TOEICのリスニングテストが「会話の遮断」や「複数人での会話を想定していない」と言うところに大きな問題が有ります。

 実際に海外で就職して見ると分かるのですが、日本の企業と比較して海外企業でのミーティングの際、「多くの人が意見を出し合う」傾向が強いです。

 これは民族的なものも関係しているとは思うのですが、ミーティングの際、「会話の遮断(会話への割り込み)」や「複数人が同時に話す」と言う事は良く起こり、その上でブレインストーミング(会議などで各人が自由に考えを出し合って問題を解決)が行われます。

 企業のスタイルや方向性にもよりますが、このようなミーティングが行われている企業では、基本的に意見交換が過熱して来ると、話すスピードが速くなっていく中で、複数人による話題転化が行われるので、TOEIC900点レベルでは話を理解するだけでも必死で、意見を出す事はまず不可能に近いのが実情です。

 本気で海外で働く事を考えるのであれば、TOEICでは無くIELTSやケンブリッジテスト等の結果を元に自分の英語力を判断しておくことで、就職後に英語での苦労が少し軽減する事ができます。

オンライン英会話でMBA取得を目指す

 近年ではMBA(英・米の経営学修士)が取得するために、「オンライン英会話を利用して英語を鍛えておく」と言う人が急増しています。

 MBAを取得するために必要なTOEICは800点だと言われていますが、実際にはTOEIC900点や980点と言った方の多くがオンライン英会話を利用して、英語学習をされています。

 オンライン英会話はTOEIC高得点保有者にとっては「英語に慣れる舞台」として活躍しますし、費用も「格安」なので、経済に敏感なMBA取得希望者の間で人気が出ているのでしょう。

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